LOGIN今話では、ラフィセルとの決着をつけ、普通の高校生に戻った龍夜くんが、いなくなったミユウを一途に探します。胸の痛みに耐え、手当たり次第ではなくミユウが行きそうなところを探す姿が、ミユウへの一途な愛を感じます。十日後に再開したミユウは、龍夜との記憶を忘れていて?!クライマックス展開です。今回もおもしろいと思われましたら是非ブクマ、評価、レビューいただけると泣いて喜びます。
「……っ、は!」 身体が寝台の上で大きく跳ねた。喉の奥から引きつった息がこぼれ、肺へ入りきらなかった冷たい空気が、胸の内側をざらつかせる。 最初に目へ入ったのは、薄闇に沈む天井だった。 太い梁。そのあいだを埋める淡い色の板。視線をずらせば、寝台を囲う天蓋の布が、閉ざされた窓から忍び込む風にかすかに揺れている。見覚えがあるはずなのに、それがどこなのか、すぐにはわからなかった。 朝なのか、夜なのかさえ判然としない。カーテンの隙間から差し込む光は白く濁り、床の上へ細長い筋を作っている。頬を撫でる空気はひどく冷え、荒い呼吸だけが、耳元で何度も反響した。 俺は両手で敷布をつかんだ。 柔らかな布の感触。背中を支える寝台。指のあいだに絡む皺。少なくとも、崩れかけた石床の上ではない。 けれど、どこからここへ来た。 何をしていた。 頭の中を探っても、そこには深い空洞があった。目覚める直前まで見ていたはずの何かが、霧の向こうへ丸ごと隠されている。思い出そうとするほど額の奥が軋み、輪郭のない光ばかりが視界の奥で明滅した。 身を起こすと、肩から掛布が滑り落ちる。 黄金の甲冑はなかった。胸元にあるのは、異世界へ召喚された日に着ていた学校の制服だ。袖も、ボタンも、使い慣れた形へ戻っている。腕を覆っていた光も、身体の奥から溢れていた力も、今は欠片すら感じられない。 額へ落ちた髪を指で払う。 薄暗い部屋の光を受け、その髪は金色に輝いた。長さも髪型も以前のまま、自然に流れている。それでも色だけが黒へ戻らず、あの姿の名残のように残されていた。 俺は息を呑んだ。 その色をきっかけに、黄金の残光が頭の中で炸裂する。 崩れた玉座。亀裂の走る石床。宙を舞う砂埃。押し寄せる黒い魔力。焼けつくような光。身体の芯まで震わせた轟音。空間そのものが悲鳴を上げるように揺れ、砕けた石片が足元で跳ねている。 だが、どの光景も順序を持たなかった。 一つ浮かんでは消え、別の断片に押し流される。誰かの声がした気がするのに、言葉まではつかめない。俺は天井を見上げたまま、乱れた息を整えようとした。 ここは魔王城ではない。 壁にかかった布も、窓枠の形も、寝台の脇に置かれた小さな卓も知っている。アストリアの城で与えられた、俺の部屋だ。 どうしてここにいるのかは、わからなかった。 誰に運ばれたのか
「龍夜!今のうちに、あなたの全ての気を溜めなさい!」 「でも、どうやって……」 「わたしがあいつの注意を惹きつけます」 「わ、わかった!」 直前まで玉座の間を満たしていた黄金の光は、薄い残照となって砂塵の中を漂っていた。胸から肩、腕、腰、脚へと身体に沿って連なる黄金の装甲が、戦場を震わせる低い唸りに呼応し、刻まれた紋様を明滅させている。 ミユウの天柱の矢に貫かれた玉座は原形を失い、その残骸が黒い石床へ散乱していた。広間を縦横に裂く亀裂は柱の根元にまで達し、崩れかけた天井から絶え間なく砂や小石が降ってくる。散った黄金の羽根も、床へ落ちる前に輪郭を失い、静かな光の粒へ変わりつつあった。 その荒れ果てた広間の中心に、ラフィセルが立っている。 玉座を砕かれ、幾度も攻撃を受けたはずなのに、その背筋は少しも曲がっていない。黒い衣を包む魔力は、むしろ先ほどまでよりも凶悪な密度を帯びていた。闇が何層にも折り重なり、周囲に残る黄金の光を端から呑み込んでいく。 ラフィセルの目が、ルゥの肩越しに俺を捉えた。 冷たく研ぎ澄まされた視線だった。感情のまま怒鳴り散らすことも、砕けた玉座を振り返ることもない。ただ、低く下げられた顎と細められた目から、踏みにじられた威厳への怒りが、刃物のような鋭さを伴って伝わってきた。 俺のすぐ後ろには、幼い身体へ戻ったミユウが横たわっている。 正天使の力を使い果たし、十六歳の姿さえ保てなくなった小さな身体。その周囲に残る羽根はもう数えるほどしかない。ミユウは反応を見せないまま、砕けた石と消えかけた光の中にいる。 振り返りたい衝動が、胸を強く締めつけた。 けれど、今はできない。 ここで視線を外せば、ラフィセルは必ずその隙を突く。俺が戦いを終わらせない限り、ミユウのそばへ戻ることさえ許されないのだ。 ルゥは俺とミユウを背にかばうように立ち、両腕を広げた。足元へ集まった水が薄青い光を放ち、細い流れとなって亀裂の間を走っていく。「あなたの相手は、わたしです」「一人で僕を止めるつもりかい?」 ラフィセルの低い声とともに、周囲の黒い魔力がうねった。「止めます。そのために、わたしはここへ立っています」 ルゥは静かに答えると、俺を振り返ることなく床を蹴った。 俺も迷いを切り離す。両足を亀裂の走る床へ踏ん張り、重心を低く落とした。両手を
「今のは焦ったぞ、虫ケラどもが」 低く押し殺した声が、魔王城の玉座の間を震わせた。 天柱の矢に貫かれた玉座は原形を失い、黒い石の破片となって広間の奥へ散乱している。床には黄金の光を宿した亀裂が幾重にも走り、その上をルゥの水の残光が青い帯となって流れていた。さらに、俺が投げ放ったアストラルフレイムの青白い炎が、砂塵に霞む玉座の残骸を照らしている。 三人の力を重ねた一撃。その中心には、黄金と青と白が混ざり合った光の奔流が、今なお激しく渦巻いていた。 だが、その奥から黒い霧が滲み出す。 最初は糸ほどに細かった影が、床や壁を這う闇を吸い上げながら膨らみ、残っていた光を内側から押し退けていく。黒い霧は一点へ収束すると、人の背丈を越える柱となって立ち上がった。その内側で幾筋もの影が絡まり、頭、肩、腕、胴体の輪郭を静かに取り戻していく。 やがて霧の中で、二つの瞳が開いた。 そこに立っていたのは、完全な姿を取り戻したラフィセルだった。「我が玉座を砕き、この身にまで届いたことは褒めてやろう」 黒い衣には乱れ一つなく、背筋もまっすぐに伸びている。けれど、こちらを見下ろす冷たい眼差しと、その身体から溢れ出す魔力は、復活する前とは比べものにならなかった。 目に見えない巨大な圧力が玉座の間を満たし、呼吸をするたびに肺が押し潰されそうになる。床に転がっていた小石が震え、次々と宙へ浮かび上がった。崩れかけた柱から砂が零れ、天井に走った亀裂の奥で、岩盤が軋む鈍い音が続いている。「だが、貴様らが得たものは、我が怒りだけだ」 ラフィセルが静かに片足を踏み出した。 その瞬間、空気が爆ぜた。 衝撃が床を走り、黄金の光を宿していた亀裂が黒く染まる。ルゥの水の残光は押し潰され、無数の飛沫となって散った。遠くに横たわるアストラルフレイムの炎も大きく揺らぎ、今にも闇へ呑まれそうなほど細くなる。 俺は腕で顔を庇い、踏みとどまろうとした。しかし、足元の石床ごと揺さぶられ、身体が何歩分も後ろへ滑っていく。胸の奥では魔王の呪いが黒い杭となって食い込み、心臓の鼓動に合わせて、焼けるような痛みを全身へ送り込んでいた。 苦しい。まともに息を吸うことさえできない。 それでも、ここで目を逸らすわけにはいかなかった。 砂塵の向こうで、ラフィセルを包む黒い魔力が渦を巻いている。それは炎でも霧でもない
「許さない!ラフィセル!わたしの真の力を思い知るといいわ!」 ミユウの声が、闇に閉ざされていた玉座の間を貫いた。 次の瞬間、彼女の全身から噴き上がった黄金の光が、広大な空間を一息に満たしていく。光は六枚の翼から滝のように流れ落ち、砕けた床を走り、天井を支える漆黒の柱を根元から照らし上げた。 魔族の紋章を刻んだ柱の表面へ無数の亀裂が生まれる。亀裂の奥へ入り込んだ黄金が、長い間この城に染みついていた闇を内側から押し出していた。 崩れた玉座の周囲では、黒い石片が重さを失ったように浮かんでいる。その一つ一つが黄金を反射し、夜空に散った星のように瞬いた。 眩しいだけじゃない。 ミユウの光は、触れるものすべてを押し潰そうとするほどの圧力をまとっていた。 床に片手をついていた俺の肩へも、見えない巨岩のような重さがのしかかる。息を吸うたび胸の奥が軋み、魔王の呪いが残る場所から、鋭い棘を押し込まれたような痛みが広がった。 それでも俺は、目を逸らせなかった。 流れる金色の髪。天井近くまで大きく広がった黄金の六枚翼。細い手に握られた弓からは、溢れた光が火花となってこぼれている。 堕天の闇を脱ぎ捨てたミユウは、まるで夜明けそのものだった。 けれど、その顔に穏やかな微笑みはない。 金色の瞳は大きく見開かれ、震える唇は強く噛み締められていた。弓を握る指先にも、白くなるほど力が込められている。 光の圧力がさらに膨れ上がった。 ラフィセルの黒い外套が背後へ激しくはためく。床を踏みしめた両足の下で石が砕け、長い亀裂が玉座の階段へ向かって走った。 それでも踏みとどまろうとしたラフィセルの片膝が、ついに床へ落ちる。 轟音が響き、黒い石の破片が跳ね上がった。 ラフィセルの瞳は針の先ほどに縮んでいる。床へついた指は細かく震え、息を吸うたび喉から引きつった音が漏れていた。 しかし、顔を上げた瞬間、その唇は屈辱に歪んだ。 床をつかんだ指に力が入り、硬い石が粉となってこぼれ落ちる。乱れた呼吸を押し殺しながら、ラフィセルはもう片方の足を立てた。「このわたしが、こんな小娘に!」 低く濁った声が、玉座の間に残る闇を震わせた。 片膝をついた姿から怯えは消えていない。それでも、背筋は折れていなかった。縮んだ瞳の奥にも、相手をどこまでも見定めようとする冷たい光が戻り始めている。
短剣が、俺の胸を貫くはずだった。 けれど、衝撃は来ない。 気づいたときには、俺はミユウの短剣を両手で受け止めていた。 冷えきった刃が掌へ食い込み、焼けるような痛みが手首から両腕へ駆け上がる。 指の間から赤い雫が落ちた。 磨かれた石床に、小さな染みが一つ。また一つと増えていく。その音さえ、広大な玉座の間は逃さない。高い天井と黒い石壁が拾い上げ、幾重もの反響に変えて遠くへ運んでいく。 俺の目の前で、ミユウの赤い瞳が大きく見開かれていた。 背中に広がる黒い翼が空気を打ち、乱れた風が金色の髪を揺らす。けれど、短剣を握る腕は止まったまま。刃を押し込もうとする指先だけが、俺の目にも分かるほど震えている。「は……離せ! 死ぬぞ!」 鋭く突き放すはずの声が、途中で掠れた。 答えようと息を吸った瞬間、胸の奥を冷たい手で鷲掴みにされた。 鼓動が跳ねる。 一度、二度。間隔を狂わせながら暴れ、次には動くことを忘れたように弱まった。凍った杭を打ち込まれるような痛みが心臓から背中へ抜け、膝から力を奪っていく。 喉が狭まり、吸い込んだはずの空気が肺まで届かない。 視界も暗く狭まっていく。短剣の輪郭が滲み、ミユウの顔さえ遠ざかりかけた。 それでも、手を離せなかった。 俺はさっき、この刃を受け入れようとした。 死ねばミユウの手を汚す。そんなことは分かっていた。それでも俺が抵抗をやめれば、彼女が抱えている苦しみも終わるのではないかと、心のどこかで考えてしまった。 けれど、それは救うことじゃない。 ここで倒れれば、俺はミユウを魔王のもとへ置き去りにする。守ると誓った俺自身が、彼女を一人にして逃げることになる。 それだけは、死ぬことより怖い。「龍夜……?」 ミユウの声が小さくなる。 俺は刃を掴んだまま、滑りかけた右足を踏み直した。 靴底が石床を擦る。乾いた音は黒い柱の間を抜け、遥か後方に閉ざされた大扉へぶつかって戻ってきた。 玉座の間には、肌へまとわりつくような冷気が沈んでいる。天井を支える柱は太く、どれも人の力では動かせそうにない。壁際に灯された青白い炎は揺らぎもせず、俺たちの影だけを床へ長く伸ばしていた。 その影の先、赤黒い石段の最上部にラフィセルがいる。 漆黒の玉座へ深く身を預け、頬杖をついたまま俺たちを見下ろしていた。俺が刃を止めても、ミユウの
「わたしと戦え!」 鋭い声が、広大な玉座の間を切り裂いた。 高すぎる天井へ吸い込まれた声は、黒い石壁にぶつかり、幾重にも重なって戻ってくる。ひび割れた柱の隙間を冷たい風が抜け、床に散らばる小石を乾いた音とともに転がした。 その中心で、ミユウが黒い翼を広げている。 翼から舞い落ちた羽根は、白かった頃の面影を残していない。闇を固めたような黒が、床を這う紫色の光を受け、不吉な光沢を放っていた。 赤い瞳が、まっすぐ俺を射抜く。 俺は胸元を押さえながら、荒れかけた呼吸を整えた。 ミユウとの距離は、およそ三十歩。 さらに奥には、長い階段と巨大な玉座がそびえている。その上からラフィセルが俺たちを見下ろしていた。片肘をつき、ゆったりと脚を組んだ姿には、この場へ降りてくる気配すらない。 俺たちが傷つけ合うのを待っている。 その視線が、肌に絡みつくようだった。「剣を抜いて、龍夜くん」 ミユウの声は冷たかった。 けれど、俺の名を呼ぶ響きまで別人になったわけじゃない。その事実が、かえって胸の奥を深く抉った。「断る」 俺が答えると、ミユウの口元から笑みが消えた。 左手が持ち上がる。 細い指の周囲へ青白い光が集まり、空気が軋んだ。魔力が圧縮される音に反応し、俺は足裏へ力を込める。 次の瞬間、閃光が一直線に放たれた。 俺は右へ跳んだ。 光が残像を焼き払い、直前まで立っていた床を貫く。耳を打つ轟音とともに黒い石が砕け、鋭い破片が雨のように降り注いだ。 着地と同時に身体を低くする。 ミユウはもう次の攻撃へ移っていた。 振り下ろされた腕に合わせ、空気の壁が迫る。目には見えない。だが床の砂塵が一斉に押し流されるのを見て、その広さと速さを読んだ。 避け切れない。 俺は背後へ跳び、両腕を交差させた。 衝撃波が全身を叩く。 身体が宙へ浮き、背中から床へ落ちた。肺の空気が押し出される。それでも後頭部を打たないよう顎を引き、肩から斜めに転がって勢いを逃がす。 回転した視界の端で、柱の陰を捉えた。 床を蹴り、そこへ滑り込む。 直後、青白い光が柱へ命中した。 石壁の内側まで揺さぶる轟音が響き、頭上から砂と欠片が降ってくる。柱には深い亀裂が走り、今にも崩れ落ちそうに軋んでいた。「隠れても無駄よ」 靴音が近づく。 一歩ごとに重い反響を残し、ミユウが柱の向
「お前、なんで俺の名前知ってるんだ」 俺の声は、自分で思ったより低く響いた。 白い石で造られた広間は、天井がやたらと高い。柱には羽を広げた女神みたいな彫刻が並び、壁の奥では青白い光がゆらゆら揺れていた。 ここが天界アストリアだとか、俺が勇者として召喚されたとか、正直まだ頭が追いついていない。 それでも、一つだけ引っかかっていた。 目の前の少女――ミユウ・ネフェルト。 俺よりずっと小柄で、銀色の髪をふわりと揺らし、背中に大きな白い翼を持った少女。初対面のはずなのに、こいつは当然のように俺の名前を呼んだ。 瀬野龍夜。 俺が名乗る前に。 その事実だけは、どんな不思議な景色よりも気
「やった……」 倒れたスライムが、青白い光になって芝生の上へ消えていく。 俺は剣を下ろした瞬間、その場に膝をつきそうになった。 息が荒い。 腕が痛い。 指先はまだ震えている。 それでも、俺は立っていた。 勝った。 たった一匹のスライムだ。 この世界では、子どもでも倒せるような魔物なのかもしれない。勇者を目指すなんて言っている人間が、ここで喜んでいいのかもわからない。 それでも。 俺にとっては、初めて自分の足で踏み出した一歩だった。「龍夜くん!」 ミユウが走ってきた。 次の瞬間、俺の両手をぎゅっと握る。「すごい! 本当にすごいよ! 龍夜くん、最後まで逃げなかった!
白い扉の前で、俺は足を止めた。 測定の間。そこへ向かうまで、ミユウは俺の手首を掴んだまま、迷いなく歩いてきた。「龍夜くん、こっちだよ」「……これ、本当に必要なのか」 ミユウはきょとんと振り返った。白い羽が揺れ、銀色の髪が肩で跳ねる。「必要だよ。龍夜くんが、どんな力を持ってるか見るの」「持ってなかったら?」 自分でも嫌な聞き方だと思った。 けれどミユウは怒らない。俺の手首を離し、両手で俺の手を包んだ。「持ってなくても、龍夜くんは龍夜くんだよ」「それ、答えになってない」「うん。答えじゃないよ。でも、先に言いたかったの。水晶が見せるものが、ぜんぶじゃないって」 小さな掌は
教室の床が光った瞬間、俺の指先からスマホが滑り落ちた。 画面の中では勇者が剣を振り上げたまま止まり、机の脚も、上履きの先も、椅子の影も白く焼けていく。誰かのシャーペンが床に転がる音だけが、耳の奥でやけに大きく響いた。 次に膝へ触れたのは、教室の床ではなかった。 手のひらに食い込む、ざらついた石の冷たさ。肺に入った空気は、チョークではなく、古い香炉と雨上がりの石畳みたいな匂いがした。 俺は瀬野龍夜。漫画やゲームの世界に逃げ込み、異世界で無双する妄想ばかりしている、ごく普通の高校生だ。 ……なのに。 足元には白い線で描かれた巨大な円があった。文字、羽のような模様、薄く脈を打つ光。そ







